泣ける映画「いま、会いにゆきます」

土井裕泰監督/日本/2004年/
原作: 市川拓司 『いま、会いにゆきます』(小学館刊)

オタスケマンをフル使用しつつも、過去と現在を行き来する時間軸を操りながら、レゾリューション(解決)に仕掛けを持つ純愛物語。

Story(ストーリー)
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ある雨の日、妻に先立たれた夫(秋穂巧)と息子(秋穂佑司)のまえに妻が(秋穂澪)あらわれる。亡くなったはずの澪は記憶を無くしていた。
巧と佑司は澪をやさしく迎え入れて一緒に暮らしはじめる。
澪は生前、手作りの絵本のなかで、自分が死んだら雨の季節に戻ってくるという物語を描いていた。
巧は記憶がない澪に、2人が出会った恋物語を話してきかせ、佑司は母のぬくもりを感じてしわせな日々を送っていた。
やがて雨の季節が終わり、澪は去っていく。


Main Character(主な登場人物)
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△秋穂澪
 秋穂巧の妻

△秋穂巧
 秋穂澪の夫

△秋穂佑司
 小学生(6歳)。秋穂夫婦の息子。

△永瀬みどり
 女性。秋穂巧の同僚。

△浜中晶子
 小学校教師。秋穂佑司のクラスの担任教師。

△野口
 医師。秋穂巧の担当医師。


Comments(論評、批評、意見)
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オタスケマンをフル使用しつつも、過去と現在を行き来する時間軸を操りながら、レゾリューション(解決)に仕掛けを持つ純愛物語

オタスケマンとはなにか?
映画やドラマにおいて、これを使えばヒットしやすいといわれるものだ。

例えば、子供、動物、病気、死、といったものである。

オタスケマンについて関連する映画レビュー ↓ ↓
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「ぼくセザール 10歳半 1m39cm(MOI CESAR 10ANS1/2 1m39)」

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「いま、会いにゆきます」では、3つのオタスケマンを使っている。

子供、病気、死。

どれかひとつだけでも観客の涙を誘うには大きな効果が期待できる。

ならばこれを3つ使えば効果は3倍かというと、からなずしもそうはならない。

なぜなら、いくら体に良いからと言ってジョギングを1日100キロもすれば、それはジョギングではなくなってしまう。1日100キロ走れるか、というチェレンジになってしまう。

つまり、1+1+1=3 にはからなずしもならず、1+1+1=Aというように、答え(結果)は「性質の違うもの」になってしまう場合が多い。

そういうわけで「いま、会いにゆきます」はオタスケマンをフル使用しているというので、心の琴線に触れずに終わるのではないかという思いがあった。

結果としては、オタスケマンは「純愛」というテーマを輝かせるための脇役であり、オタスケマンが主(メイン)という性質の作品ではなかった。

もちろん「親子の愛」という題材はじゅうぶんに人々の琴線に触れ、心温まるものになっており、「純愛」というテーマは輝いている。

それは配役のうまさもあるだろう。秋穂澪役の竹内結子(※1)氏はとても人気がある女優さんで、広い年齢にまたがった男性層にファンが多い。

さらに、竹内結子氏は今回も(他の作品でも)死人の役である。普通の人が死人役をすると、なんだか気味が悪く感じるものだが、色白で清楚で華奢で綺麗な女優さんならば、たとえ死人役であっても普通の人を超越した「美の象徴」というイメージを観客に持たせることができる。

時間軸を操るとはどういうことか?
これは、澪が記憶喪失になっている設定なので、巧は2人の出会いから結婚にいたる物語を話してきかせるのだ。

妻とはじめて出会ったとき、相手についてどんな印象をもってどう思ったか。そんなことを妻に話してきかせるという、普通ではなかなか照れて話せない事柄だ。だが澪は記憶を失っているので巧は話して聞かせる。澪は自分がどうしてこの人(巧)と結婚したのか知りたくて話に聞き入るのだ。

このとき観客は澪と同じ気持になっており、巧が話して聞かせる恋物語に胸をときめかせるのだ。話を聞くことで巧の病気(恋愛におけるオブスタクル:障害)のこともわかり、ますます2人の恋愛過程に感情移入していくのだ。

こうして2人の馴初め(過去の恋物語)を知ることで澪はあらためて巧のことが好きになっていく(現在の恋物語)のだ。さらに佑司のこともますますいとおしく思うようになっていく。

だが、やがて雨の季節が終わって澪はふたりのもとを去っていく。

ここで、感動のクライマックスに涙しながら観客は、気になっていたことを思い出す。

〈セントラルクエスチョン〉
・澪はなぜ戻ってきたのか。
・澪はなぜ雨の季節に自分が戻ってくることを絵本で予言していたのか。
・澪はなぜ巧と結婚するときに「うまくいく」と自信を持って言えたのか。

この答えがラスト20分ほどで明かになる。ここからの20分がもうひとつの醍醐味だ。詳しくは書かないが、視点をシフトすることで、巧と澪の恋愛が描かれる。

すれ違いというスパイスをめいっぱい効かせた恋物語が観客の胸を打ち、澪がある種の「奇跡」を体験しつつも、巧と一緒になることを選ぶ決意に観客は心震えて涙溢れるのだ。

作品の締めくくりが、作品名できれいに落ち着くようになっている。作品名は的確であり、ストレートなのだが奥深さもある。

特にお勧めのシーンは、澪が永瀬みどり(巧の同僚)と喫茶店で話すところだ。

澪は永瀬みどりに、自分がいなくなったら巧と佑司のことをよろしくと頼むのだが、そのときの澪が流す涙はなんとも……。

わたしはそれまで、竹内結子氏がたいそう人気があるのがなぜだかよくわからなかったのだが、このシーンで彼女の魅力の一端がわかったような気がする。

今回はほぼネタバレになってしまったが、それでも映画館へ観に行く価値はじゅうぶんにあるだろう。

※1竹内結子
女優。1980年埼玉県生まれ。ドラマ「婿殿」「ランチの女王」等出演」。映画「黄泉かえり」「イノセントワールド」等出演。


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posted by タカ at 22:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | 泣ける映画(純愛系)
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