泣ける映画「電車男」

電車男
村上正典監督/日本/2005年/101分
元ネタ:2ちゃんねる掲示板のスレッド

ネットという日常で「ヘルパー」→「相棒」を得た青年の恋の成就までを描いた、アキバ産☆新シンデレラストーリー。

物語の紹介
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電車で酔っ払いからお嬢様系女性を助けたアキバ系青年。後日その女性からお礼の品が届く。
青年(電車男)は彼女(エルメス)と親しくなりたいが慣れないことでどうしていいかわからない。
そこで馴染みのあるインターネットの掲示板で相談してみることに。すると数々のアドバイスや意見や叱咤激励が寄せられる。
電車男は掲示板に集う人々に助けられてエルメスとデートを重ねていく。


主な登場人物の紹介
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△電車男
アキバ系青年。アキバとは日本を代表する電気街・東京秋葉原の俗称。アキバ系は大まかには2系統ある。ひとつはパソコンを自作する人々。もうひとつはアニメーションやフィギュア(キャラクター人形)が好きな人々。電車男はこの両方の好みと知識と技術を持っています。

△エルメス
お嬢様系女性。大手外資系企業(おそらく)に勤めている。海外出張もする語学堪能で落ち着いた雰囲気の女性。機械モノの操作は苦手。高級住宅街の一軒家で家族と暮らしています(犬も)。

△名無し(夫)
サラリーマン。家の書斎のパソコンから掲示板に書き込む。妻との会話はほとんどない。

△名無し(妻)
家のリビングでノートパソコンから掲示板に書き込む。夫との会話はほとんどない。

△名無し(看護士)
二十歳前後の女性。勤務中の休憩時間や空き時間に職場からノートパソコンで掲示板に書き込む。

△名無し(青年)
家の部屋から掲示板に書き込む。

△名無し(漫画喫茶の男たち)
仲の良い3人の男たち。漫画・インターネット喫茶のパソコンから掲示板に書き込む。


コメント・レビュー(Comments・Review)(論評、批評、意見)
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ネットという日常で「ヘルパー」→「相棒」を得た青年の恋の成就までを描いた、アキバ産☆新シンデレラストーリー。

‡ 現代日本男性版シンデレラストーリー ‡

若くて綺麗で気立てもいいけど、地味な服を着てコツコツと働き、好きなグッズやソフトに囲まれて生活している青年。

周りの人々(継母とその娘である姉たち)にはオタクだと言われて嘲られている。

会社ではパソコンが調子悪くなったときだけ呼ばれてすぐになんとかしろと言われるそんな日々。

ある日電車(かぼちゃの馬車)に乗った酔っ払い(魔法使い)が魔法をかけてくれる。

エルメスという姫に出会った電車男は、ネット掲示板でみんなの助けを得て恋の成就を成し遂げる。


‡ 細部にこだわりが ‡

電車男の部屋はいろいろなパソコングッズやロボットフィギュアで溢れています。

本棚に無造作に積まれたキーボードや、ベッドの脇に追いやられるように置かれたテレビ(おそらくテレビはほとんど観ない)など、実際にどこにでもありそうな部屋になっています。

また電車男が着る「百式Tシャッツ」はロボットアニメの金字塔ガンダム関連のグッズですね。おそらくアキバ系でも美少女アニメ系ではなくてロボットアニメ系なのでしょう。

いくら山田孝之くんがイケメンでも、美少女アニメ萌萌〜☆というのではちょっと一般ウケしずらいでしょうから、ロボット系というのは妥当な設定だと思います。

電車男はパソコンも詳しいらしく、仕事は会社のシステム関連の保守・運用といったあたりのようです。

なにかにこだわれる人が、その道を極めることができます。

幅広い教養と知識を身につけなければならないと言う方がいます。それは一理ありですが、逆に言うと広く浅い人はたくさんいます。

ある何かを専門として、その知識と技術を持った人になるためには「こだわり」が必要です。

いわゆるアキバ系やオタク系といわれる方は、パソコンだったりアニメキャラクターだったりといった、なにかにこだわることができる人です。

一生のうちで好きなこと、こだわれることをみつけることができない人はたくさんいます。

こだわれる電車男って、なんだかカッコよくないですか?

エルメスに映画「マトリックス」の説明をするとき電車男は急に饒舌になり、目を輝かせて話しつづけます。途中でハッと気付いて、こんな話つまらないですよね、といった意味のことを言います。

するとエルメスは電車男をレンタルショップに連れて行ってその「マトリックス」を借りてみるのです。

こだわりを持って、目をキラキラさせて好きなことについて話す電車男をカッコイイなァってエルメスもきっと思ったはずです。


‡ 名前 ‡

電車男は電車男。エルメスはエルメス。それでもストーリーは進みます。ハンドルネームまたはニックネームであることが、作品の世界観を作りあげる助けにもなっています。

クエンティン・タランティーノ監督の「レザボア・ドッグス」という作品では、ある仕事をするために集められた男たちがそれぞれコードネームで呼び合います。ミスターオレンジといったように――。おれがなんでピンクなんだ! みたいな会話もあったような気がします。。。

とにもかくにも、ニックネームを使うとことで、作品世界をより際立たせているのです。

ネットコミュニティではハンドルネームを使うのが一般的ですし、一度も会ったことがなくてもある種の信頼関係を築いている人はたくさんいます。


‡ 友人 ‡

エルメスには、おいしいものを食べにいく友人がいます。この友人はけっこうズバズバとものを言うサバサバした人のようです。でもエルメスはネットには知り合いはいません(自宅に自分用のパソコンを持っていませんから)

電車男には会ってご飯を食べたり遊んだりする友人はひとりも登場しません――いないからです。そこでネットの掲示板に書き込んでいろいろ相談するのですが、なかにはズバズバと遠慮なくキツイことを書き込む人もいます。

面識がないので、思ったことを気がねなくズバズバ言えるんですね。

会ったことがある友人だとなかなかこうはいきません。腹を割って話すには相手となにかの困難を一緒に克服しなくてはなりません。または自分をさらけ出してみせることが必要です。こういったシーンがあってはじめて主人公は真の友からのアドヴァイスを得ることができるのです。

ですが「電車男」では「困難を一緒に克服するプロット」がなくても、掲示板に集う人々はみなズバズバ言えるんです。

すると、主人公電車男が脇役との関係を作り上げるプロットに時間(シーン)を割かなくて済みます。

節約できた時間は、電車男とエルメスとのシーンに充てることができます。

つまり作品の焦点がブレずに済むんです。電車男とエルメスの関係にしっかりとフォーカスすることができるのです。


‡ シンプルだからこそ心に響く ‡

電車男はエルメスと出会ってこう告白します。

「今までずっと一人で、これからもずっと一人で歳をとっていくと思ってたし、それでいいと思ってた。でも、あなたと会って、初めて人と一緒にいることが楽しいと思った。これからもずっと一緒にいたいって…。でも、いつか失うんじゃないかって考えたら、どうしようもなく不安で恐い…」

そんな電車男をエルメスは、ず〜と一緒にいましょう、と受けとめます。

またエルメスは電車男と一緒にいると、なんでもない日常が日常でなくなる、すばらしい時間になる、といった意味のことを言います。

ベタすぎるといえばそうですが、こういったセリフで心をふるわせるのは並大抵のことではありません。

「電車男」はシンプルなシンデレラストーリーです。ベタな内容です。ですが、それがいいのです。

典型的なストーリーが現在まで存在しつづけているのは、それだけ多くの人々に愛されているからです。

ラブストーリーに焦点を合わせたキャラクター設定とキャスティングの巧みさで「応援」という感情移入をしてもらえるようにしたその「ストーリーとキャラクターの力」というものに、もしかしたら作り手さえも気付いていなかったのかもしれません。

大作にしよう! とか、群像劇みたいにたくさんのキャラクターを登場させて凝ったすごい作品にしよう! とか、そんなことを考えるまえに、「電車男」のようにシンプルで基本的なストーリーと普遍的なテーマと魅力あるキャラクターで作品をつくってみましょう。

そうすれば、たとえお金をかけなくても、たくさんの人に観てもらえる作品が作れることを電車男は教えてくれています。


‡ 相互乗り入れ ‡

電車男ドラマ化

それを見据えているのでしょう、映画とドラマとの一部が相互に乗り入れしています。

映画作品のなかで、ドラマでの電車男役のアキバ青年が登場します。

実際に他の線へ乗り入れる電車もあるんだから、映画とドラマも乗り入れちゃおう! ってノリなのかも☆


‡ その他 ‡

2ちゃんねるの掲示板が元ネタらしいですが、フィクションかノンフィクションかははっきりしていないようです。

映画だけしか観ていませんが、私の感想では、実話を元にしたフィクションといったあたりでしょう。

でも、フィクションかどうかなんてどうでもいいですね。だって楽しめる作品ですから☆


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